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− 2004年8月号 −
校友訪問
90年工学部・土木工学科(現・都市環境システム工学科)卒
技術士・新 田 耕 司 さん

中央復建コンサルタンツ株式会社 勤務)
今回の校友訪問は大阪市にある「中央復建コンサルタンツ株式会社」で技術士として活躍する新田さんを訪ねました。
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今でこそ、技術者トップの証ともいえる「技術士」の資格を持ち、社会の第一線で活躍している新田さんですが、摂南大学在学中はあまり勉強をした記憶が無いといいます。特に決まったサークルに属さず、いつも10人ぐらいの仲間といっしょに、遊びや旅行の計画を立てたりするのが楽しみで、講義室にいるより食堂でワイワイ話しをしている時間の方が長かったそうです。そんな新田さんも就職の時期を迎えますが、世は土地神話に酔うバブル絶頂期。別に土木にこだわるわけでもなく、何となく「鉄道会社バックのデベロッパーなんかがいいだろう」と思い就職活動を始めた矢先、研究室の先生から「高い技術を4年間かけて身につけてきたのになぜ不動産屋なのか!?」と叱責されます。それまで真剣に自分の将来について考えてこなかった新田さんは「なぜ土木工学科に入ってきたのか?」と自問自答します。「土木」とは、その字のとおり「土」と「木」。人工的だが自然に一番近い仕事。そして「土木工学」は英語では「Civil engineering」、それこそ「市民のための学問」。その結果に多くの人が喜んでくれるということに気付くのでした。それまでの就職に対する甘い考え方を180度変えた新田さんは、大学でたまたまあった今勤めている会社の前社長の講演で初めて「コンサルタント」というものを知ることになります。それがきっかけとなったのか、8月には大学の推薦書を持って「中央復建コンサルタンツ株式会社」の門を叩いていました。そして、入社試験の作文では、当時問題となっていた、15名の犠牲者を出した「越前海岸崩落事故」を引き合いに出し、「土木というものは砂場のトンネル。形ばかりにこだわらず、崩れると予測がつくところは安全性を第一にゆとりを持ったものにしなければならない」と記し、入社を許されます。

中央復建コンサルタンツ株式会社
「中央復建コンサルタンツ株式会社」では、設計部門に籍を置き、主に地下鉄関連の土木設計を担当。入社間もない頃、京都地下鉄・国際会館駅の出入口の設計を担当した際、竣工して間もなく京都地方に集中豪雨があり、そのニュースを流すテレビに、自分の設計した出入口を濁流が襲うシーンが映し出されたことは、強烈な印象となって今でも心に残っているそうです。当時、京都市からは「排水勾配が間違っていたのでは?」と言われたそうで、結果的には予測できない自然災害ということでも、入社試験で自ら書いた作文に、目に焼き付いたテレビでの光景が重なります。「自然を前に人間はなんと無力なんだろう。いったい人と土木のかかわりはどうあるべきか?・・・」いろいろな思いが交錯する中、技術者として頂点を極めることで、答えを見つけようと考えた新田さん、その実現手段として、また自分のためにも「技術士」合格を目指すことになります。しかし、「技術士」は当時合格率10%という狭き門。生半可な勉強では通るはずがありません。そして試験も朝9時から夕方5時まで昼休みを除いて7時間ぶっ通し。ただ書き続けるしかないという過酷なもの。少しでも答えに迷うと、それは不合格を意味します。 それまでの経験と日頃の勉強で裏打ちされた自信でしか、その試験を乗り切ることはできません。新田さんは、その試練をも克服し、2000年晴れて「技術士」となるのでした。
今は公共事業など、工事の影響でどれだけの地盤変位や周辺構造物への影響が生じるかを前もって予測計算をし、適切な施工案を提言しながら、工事中その予測値に対して実際の状態が許容範囲内かどうかも検証。実測値が許容値を超過する場合は、対策を進言するといったコンサルタント業務を中心に活動し、責任ある立場の新田さんですが、後身の育成にも熱心で、同じ会社の摂大出身者に「技術士」の大切さを説き受験指導をする傍ら、「摂南大学技術士会」発足にも平城先生や他のメンバーといっしょになって尽力し、母校摂南大学から「技術士」をテーマに講演を依頼されるようにもなりました。

 そんな新田さんでさえ、設計部門で基礎から技術を会得できたことは何物にも代え難い経験だと言います。それは「技術士」としての経験を積むにつれ、ますます感じるところです。基礎無くして、新しい創造はありません。「技術士」になることで、今までになく謙虚な気持ちになれた新田さんは、昨今の公共事業に対する世間の批判に対しても素直に耳を傾け、本当の意味での市民側に立った、市民のための、自然と調和した、土木を「技術士」として模索する日々が続きます。

摂南大学技術士会のホームページ
http://www.setsunan.com/pro_engineer/


〜編集後記〜
摂南大学技術士会発足の取材も兼ねておじゃましました。急なことなのに快く対応していただき、人間の深さを感じました。「技術士」とは技術ばかりでなく、優れた人間性を兼ね備えた者でなければなれないのだな〜、とすごく感じた今回の取材でした。

さあ次はあなたの所へおじゃまするかも・・・!次回の校友訪問もご期待下さい。

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